犬糸状虫とも呼ばれるフィラリアは、蚊が媒介して犬の肺動脈や心臓に寄生し、全身の血液循環や内臓にも深刻な障害を与える恐ろしい寄生虫です。命に関わることもあるため、定期的に駆除し、予防を行う必要があります。
フィラリア症の主な症状
- 乾いた咳
- 疲れやすくなり、運動を嫌がる
- 体重減少
- 呼吸困難(急性)
- 黄疸(急性)
- 血尿(急性)
- 不整脈(急性)
フィラリア症の予防と投薬期間
フィラリア症は、予防しないとほとんどの犬が感染する生命に関わる重大な病気ですが、正しく投薬すれば確実に予防できる病気です。フィラリアの予防薬は、前の月に体内に入ったフィラリアの幼虫を月に一度成虫になる前に駆除するという仕組みです。蚊を見なくなったからといって予防を中断してしまうとフィラリアに感染してしまう可能性があります。フィラリア予防期間は、蚊が出始めた1ヶ月後から蚊を見なくなった1ヶ月後までです。
5月1日から12月1日までの8ヶ月間の予防を推奨しています。
フィラリアの検査
すでにフィラリア症に感染している子に予防薬を投与すると重篤なショック症状を起こす可能性があるため、フィラリア予防に入る前に、感染していないか検査をする必要があります。フィラリアの検査は5分ほどで結果がわかる血液抗原検査で行います。また感染が確認された場合は心臓エコー検査で直接確認します。
予防薬の剤形の種類
フィラリアの予防薬にはさまざまな剤形があります。それぞれにメリットがありますので犬の性格や体質、生活習慣に合わせたものを処方してもらいましょう。
錠剤タイプ
フィラリアの幼虫(ミクロフィラリア)を駆除する錠剤です。イベルメクチンやミルべマイシンなどの駆除成分が含まれています。ドッグフードやおやつに包み込んで与えたり、喉の奥に押し込んで飲ませます。また、飲みやすくされた予防薬に比べると価格は安くなり、必要量が多い大型犬などにはコストがかからないメリットがあります。デメリットとしては、味に敏感な子は薬を吐き出してしまう場合がありきちんと飲めない可能性があります。
チュアブル錠タイプ(おやつタイプ)
口の中で噛んでから飲み込む錠剤です。薬剤が練り込まれたおやつ状の製品です。錠剤のデメリットを解消されたタイプで飼い主さんにもありがたいですね。食べることが大好きな子にぴったりです。
滴下薬(スポットタイプ)
駆除成分が入った液体を首の後ろに塗布して使用するタイプです。有効成分はセラメクチンなどがあります。食物アレルギーがある犬でも安心して使用できます。錠剤やおやつを受けつけない場合の吐き出しもないので、確実に投薬できるのがメリットです。塗ったお薬は皮膚から吸収されて効果を発揮するので、塗布後一定期間が過ぎれば予防期間中シャンプーも可能です。デメリットとしては触られるのが苦手だったり、激しい動きをする子では塗布が難しい場合があります。
注射
動物病院でフィラリア予防の皮下注射をしてもらうことも可能です。効果は12ヶ月間ある為1年に1回の注射で通年予防が可能となります。錠剤やおやつタイプでの飲み忘れのリスクを減らせて、確実に予防できるところがメリットです。投与時の体重に基づいて薬の量が決まるため、体重が比較的安定する成犬になってからが良いとされています。
フィラリアのお薬を飲み忘れてしまった!
忘れたことに気づいたら、とりあえずすぐにお薬を飲ませてあげてください!
予防薬は主にフィラリアの幼虫をターゲットにしています。その為お薬を服用する間隔があけばあくほど体内に入ってしまった幼虫が発育し、予防薬が効きにくくなってしまいます。
飲み忘れている間に感染しているかはすぐにはわかりません。分かるのは半年以上経ってからであり、すぐ病院に行って検査してもわからないのです。

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